小説[日本揺籃ー山門国の女王伝](あらすじとまえがき)
第1話 あらすじとまえがき
あらすじ
ヒナコ(日向子)は面上国の王イザギと巫女出身の妃イナミの娘として母の里、筑紫の日向の岩屋で皆既日食の日(158年)に生まれた。
太陽の子と言われながら前国王スイショウの館で育った後、巫女修行をして、15歳で面上国の斎主になった。いたずら好きの弟スサオは諸国を旅した後、自国の産業を発展させ国の勢力を広げた。友好国の間の争いが多くなると、ヒナコは連合国やまと王国の女王に推されヒミコ(日神子)と改名された。イザギは引退し、スサオが面上国改め山門国の首長となった。連合国はヒミコの下で国家として機能し始め、安定した。即位50年後ヒミコは魏に朝貢の使節を派遣し、名実共にやまと国家の女王となった。
まえがき
郷土史家村山健治氏に初めてお会いして、著書[誰にも書けなかった邪馬台国]にサインをいただいたのは1982年1月19日だった。その時、労作のご本に感動して、「いつか小説にしてみたかですね」とほざいてから40年が過ぎてしまった。
八十路に差しかかって恥もかき捨てられそうなので、残り少ない余生をかけて初の小説の執筆にトライしてみよう。具体的には村山氏の著作も参考にしながら、調べ物はAIチャット(*)を利用して、魏志倭人伝の記述と記紀の神話をひもといて日本人の起源に迫っていきたい。
始める前にパズル作家として魏志倭人伝の二つのパズルを解かなければならない。
一つは投馬国と邪馬台国の位置の再確認である。
邪馬台国探しで第一の疑問は不弥国から先が里程から日程に変わっていることである。このことが江戸時代以来諸学者や小説家、郷土史家など多くの人々を迷走させてきた。
このヒントは[その道里を計るにまさに会稽の東冶の東にあるべし]である。つまり、魏が呉を挟みうちするためには金印を授ける邪馬台国は沖縄あたりにあると思わせるトリックが必要だったのである。魏は蜀を抑えるため西隣のクシャーナ国にも[親魏大月氏王]の金印を授けている。
しかし、実際に沖縄近くでは困るのでどうにでも解釈できる表現を捻出している。[南至投馬国水行二十日]と不弥国の説明に続いて記してあるが、「次」の字はない。これまで「水行」はすべて海路を表しているので、陸の川の上り、下りは考えない方がよい。
出発地はわざわざ不弥国に寄る必要はないので伊都国だろう。
では、西回りか東回りで海路だけで二十日間かかる、不弥国より南の方向(ただし、邪馬台国より北)の国はどこか。
外海の場合は陸づたいに風待ち、潮待ちしながらなので日程ほどあいまいな表現はないが、西回りは「海に描かれた邪馬台国」で田中卓先生が推奨された五島列島の福江島があるが、距離が余りに近すぎるのと5万戸(これも投馬国を大きく見せるために邪馬台国と共に倍増している可能性がある)は半分でも面積的に無理がありそうだ(都市のない時代の戸数は面積に比例するだろうから)。
東回りは関門海峡の難所を考慮しても豊(とよ)の国(宇佐)が有力である。戸数は日田(平塚遺跡)まで含めれば十分であろう。それと、ここが女王国圏であれば東に1000里に四国がある。
邪馬台国は伊都国から水行十日、または陸行一カ月と考えれば村山氏も比定されている山門郡(筑後平野)がどんぴしゃりである。水行十日は先の田中卓先生が示された「大村湾から船越を経て有明海に抜けるルート」が秀逸で、矢部川の5mを超える潮の満ち引きを利用すれば王場の地近くの船小屋までそのまま着けるのである。
陸行(一カ月)では大きな荷物がなければ、奴国を経由して、村山氏説の川渡りを避けて、山すそから尾根づたいを歩いてゆっくり辿り着くことができる。
もう一つのパズルは卑弥呼が西暦何年ころに生まれ、何歳で死亡したかである。
邪馬台国の場所探しに気を取られ、多分、だれも気にしなかったかもしれないが、卑弥呼を書くには必要なのである。
ヒントは倭人伝に「その人の寿考、あるいは百年、あるいは八九十年」、また、卑弥呼が王となった時「年すでに長大なるも夫婿なく」とある。
当時の平均寿命は40歳前後(AI)なのになぜ八九十年なのだろう。
私の推理では、朝貢した時、使節に「女王は今何歳ですか」と聞かれ、「80歳過ぎくらいかな」と答えたので、「よいしょ」したのではないだろうか。
卑弥呼が女王になって50年ほど経っているので、「すでに長大な年」は30歳前後だったのだ。
したがって、生まれたのは159年前後、亡くなった年齢は90歳近くとなる。在位は約60年である。
(*)AIチャットはマイクロソフトBringを利用している。検索は出典を示してくれるので助かる(今までの小説家は資料集めが大変だったろに)。小説や要約を「チャット」や「作成」で試してみたが和文を英文に訳して、回答も英文を和文に翻訳するためか、思い通りにならなくて、くどく訂正を求めると英文で断ってくる。やり取りで遊ぶのは面白いが、創作は自分で書くべきであることがわかった(当たり前だが)。
(第2話 第一章 ヒナコ誕生 に続く)
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